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From 龍雲

2021年6月のメッセージ

政府の愚策によって繰り返される緊急事態宣言下、ステイ・ホームを余儀なくされる中、毎朝目覚めて最初に思うことは、大谷は今日ホームランを打ってくれるだろうか、と言うことだ。時差の関係で、日本では午前中に生中継されることがほとんどだが、時たま、早朝5時からと言う時もあり、それでも、大谷見たさにその時間に起きてテレビのスイッチを入れている。日本国中、そんな人が今多いのではないだろうか。長引くコロナ禍にあって、休業を強いられ、溜まったストレスが大谷の放つ半端ない飛距離のホームランでスカっと体から発散されて、その瞬間だけが今大袈裟に言えば一日の生き甲斐みたいになっている。幼い頃、夫婦喧嘩の絶えない家庭に育って、心にいつも不安を抱え暮らす中で、巨人の長嶋さんのその日の活躍が一瞬心を明るくしてくれたように、それと同じような感覚を今大谷の活躍に見ている。さまざまな理由で生きることに閉塞感を感じている我々のためにも、どうぞ今後もビッグなホームランをかっ飛ばしてもらって、スーパー・スター大谷翔平をいつまでも応援したいものである。一方、二刀流と言うことで、投手としての大谷はと言うと、手術してブランクがあったせいか、相手打者が手も足も出ない三振を取ったかと思うと、急にコントロールを乱してフォアボールを与えるなどと、まだ安定感に欠けるところがあり、こちらはイライラするところがあり、打者大谷のホームランのようにはスカっとはいかない。しかし彼のことだ、次の登板あたりではいいピッチングを見せてくれるだろう。

まだ大谷の話し。
大谷が登板する時は、その女房役のキャッチャーにはハワイ出身のベテラン、カート・スズキが当てられる。顔がどことなくうちの兄貴に似ているところがあり、勝手に親近感を感じているが、日系3世だそうだ。
そこで浅はかな父は夢を見る。ハワイで育った我が娘二人のどちらかとハワイ繋がりで兄貴と似たカート・スズキが大谷翔平との仲を取り持ってくれはしないかと。そして大谷翔平の義理の父となり、もし娘との間に男の子が生まれたりしたならば、これでも中学時代、勝ったことがほとんどないであろう隣り中学のチームを相手にノーヒット・ノーランの経験を持つ私が、その孫に手取り足取り野球を教えるのだが。あぁ、夢なる哉。

いっそ最後まで大谷の話し。
岩手県の大船渡をコンサートで訪ねた際、車で迎えに来てくれた現地のスタッフの方が、道中、「ここの辺りが大谷の出身地です」と教えてくれたことがあった。
まだ日本でプレーしている頃のことだったと思うが。大船渡までどこからどういうルートであったのか覚えていないが、確かにそう言われた記憶がある。昔は、甲子園に出て勝ち進むチームは大体が東京以南の高校であり、東京以北では積雪も多く練習もままならぬゆえ、その実力差は歴然としていた。それが近年、むしろ北にある高校の方が強豪チームが増えている感がある。もちろん温暖化の影響もあるだろうが、生来東北の人の持つ我慢強さと言うものもきっとあるだろうと思っている。
大谷の他にもう一人岩手県出身の凄い選手がいる。後何年か日本のプロ野球でプレーすれば大リーグ入りは確実であろう。それは大船渡出身で、現在ロッテマリーンズに在籍している佐々木朗希投手である。2011年の東北大震災でお父さんを亡くしている。彼はその時まだ9歳であったらしい。
震災直後に、大船渡にコンサートを企画して頂いたスタッフの方をお見舞いに行ったことが思い出されるが、朗希少年は悲しみの最中にその時に大船渡にいたんだと思うと、よくぞ、ここまで頑張って来たなと少し胸が熱くなる。
大谷にしても佐々木にしてもまだ若く、これから大リーグで長く活躍してくれるだろう。野球好きのおじさんは本当に楽しみだ。

コロナ禍、毎朝大谷の活躍を見て元気を頂いているこんなおやじもいれば、オリンピック・パラリンピックでアスリートから元気を頂こうと楽しみにしていた国民も多くいるだろう。開催か否か、国論が分かれている。返す返すも政府の不手際によりもたらされた現状は残念としか言いようがない。