部屋の模様替えの最中である。
海がかすかに望める寝室だった部屋を書斎にし、書斎だった部屋を寝室に代えた。海側にあっても掃除の時以外はカーテンを開けることの少なかった寝室がもったいないことに気づき、年老いて物思いに耽るのには空や海を眺めながらの方が何となく良かろうと考えてのことだ。書斎にして使っていた部屋の方が二、三畳広かったため、入りきらない荷物がまだそこかしこに置かれたままである。この状態でそろそろ一ヶ月以上になるが、今では入りきらない荷物たちも開き直ってか元からそこにあったように不自然なく堂々と共に暮らしている。急ぐ理由もないので、置き場所を見つけるか、はたまた処分するか決心できるまでそのままにしておかれることだろう。
沖縄に越して来て、子供がまだ小さい時分、マンションの近くに仕事部屋を借りていたことがあった。更新をした記憶がないので二年間だけだったと思う。夜中に歌を作っていると子供が起き出して来て、眠れないのかニコニコと笑って部屋に入って来ることがよくあった。歌ができそうにない時は、膝に乗せて一緒に遊んであげるのだが、締め切りが迫っていたりした時は、天使のようなニコニコ笑顔が悪魔のそれのように思え、寝させようとするのだがどうしても寝ない時があり、最終手段として車の後部座席にセットしたチャイルドシートに縛り付け近所をしばらくドライブしてやっと眠ってくれることがしばしばあった。そんなことで仕事に集中できる部屋があった方がよかろうとワンルームを借りた。でも結局は、昼間作曲して夜は子供の相手をしていたから借りるほどの必要があったのかと思わなくもないが、『ルリカケス』をその仕事部屋の窓から空を見上げ、奄美を想像しながら作ったことを思えば、借りて正解だったのだろう。
今、初めてこのメッセージを窓越しに海と空を眺めながら新しい書斎で綴っている。海は風もなく凪いでいるようで、空には何機か米軍の基地から戦闘機がさっき飛び立って行った。借りていたワンルームの仕事部屋で使用していた大きな作業台の上でこのメッセージをタブレットに打つのだがまだ慣れていない。横にはキーボード、その前にパソコンとスピーカー、エフェクターなどを置いてある。その作業台が全てを支えているのである。高さの基本がその作業台であるため、乗せている新しく買ったキーボードの厚みで必然的に椅子も高くなり、パソコンの画面も高くなり、全体的に宙に浮いたような感覚がしてまだ落ち着かない。もう少し工夫を加えてみるつもりだが、そのうち慣れて、空と海を見ながら、また『ルリカケス』のようなみんなに愛される曲ができる部屋の模様替えであったならいい。
今年も応援ありがとうございました。
今年は思いも寄らぬ新型コロナの世界的蔓延と言うとても厳しい一年となって、まだ感染の収束には時間がかかりそうですが、来年へ希望を何とか繋いでこの危機を共に乗り切りましょう。
もう十二月。こんな渦中でも、時は確実に刻まれているんですね。コロナに翻弄されることなく、自分の時を大切にしなければと思います。
みなさんにとって心静かな師走そしてクリスマスであります様に。
すっかり暗く陰った部屋の中から。愛を込めて。