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From 龍雲

2020年10月のメッセージ

あれよあれよのうちにもう10月。
コロナ・ウイルスの感染防止のため、3月の全国の小中高の一斉臨時休校に始まりそれから7ヶ月が過ぎ、今年も残すところ後3ヶ月となった。すっきりと覚え易くこの区切りのいい数字2020年は本当なら東京オリンピックの開催により空前絶後の訪日客が予想され、観光業を中心に日本経済の大いなる躍進が期待されていた年で、この華やかな年に相応しい数字と2020年を誰もが思っていたに違いない。それがとんだ2020年になったものだ。結局、語呂の良い響きだけが残って2020年は悪夢の年として歴史に記憶されることとなるだろう。
そんなコロナ禍、久しぶりに9月の19日佐賀、20日長崎、21日大分でコンサートを行なった。全国の感染状況が少し落ち着いていた感もあり、政府のGo to トラベル全面的解禁の動きも考慮して、今やらなければ、秋冬の第二、三波と感染がまた広がれば今年はもう歌うことはできないと思ったからだ。
結果、やってよかった。1月にファンクラブの集いで何曲か歌っただけでしばらく時間も空いており、声の調子も、またステージ進行の間合いについても感の戻らない不安があり、いっそのこと今年はライブ無しでも仕方ないかなと自分自身では正直思い始めていた。再延期はしないということが決定しても気分はどこか半信半疑で、ツアー出発前夜も変に興奮していて、抗体検査キットで陰性であることを自分自身で確認するのに採血がなかなか上手くできなかったり、いつもは旅慣れてる筈の支度にも手間取って、睡眠も浅いうちに旅の朝を迎えた。そして少し緊張しての現地入りとなったが、コンサートを企画してくれたスタッフも会場のスタッフの方達と感染防止の対策をしっかり立ててくれていることに安堵して、ようやくリハーサル終えて平常心に戻ることができたような気がする。
結局、考え得る感染リスク対策を講じたのなら、後は神頼みしかなく、ウイズ・コロナの時代を生きて行く一歩として踏み出せたことはスタッフのみならず観客のみなさんの勇気ある決断だったと今はありがたく思っている。
こんな時によくコンサートに足を運んで頂けたと言う熱い感謝の思いと、誰かが誰かを支えて人の世の中は回っているんだと言う絆の大切さの再認識があって、漠然とした廃業への不安も一気に吹き飛ばすことができた。これから来年にかけても感染状況を見ながらの手探りの活動になるだろうが、ファンの方達から頂いた勇気を何倍もにしてお返しできるように精進してその時にまた備えたい。

もうここ沖縄にも秋の風が吹いて、一年を通じて最も過ごし易い季節がやって来た。来月11月の誕生日頃の気候が日本の気候の中で一番好きだ。
コロナ禍、今はもちろん場所を選んでだが、思い切り両手広げて深呼吸してみたい。感染の恐怖はあっても、心はいつもの年と変わらずに秋を迎え入れたい。
そうするためには、希望に自分を無理やりにでも奮い立たせることだ。
負けない。前を向こう。