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From 龍雲

2020年7月のメッセージ

いよいよ髪の毛が使い古して先端が反っくり返った庭箒のように茫々の様相を呈して来た。普段であれば、東京に仕事で行ったついでに、もう長年通っている美容院で長くても二ヶ月に一度の割合で散髪していたが、コロナのせいでこの五ヶ月以上に渡って散髪していない。何度か自分で鏡を見て、耳からもみあげ辺りを鋏で整えてはいるが、いよいよ襟足が暑苦しさを感じるようになって来た。皆さんも同じだとは思うが、なかなか馴染みの床屋さんを変えることは、人から見て「同じじゃん」と思われようが、勇気のいることである。何度か家の近くの美容院を検索してみたりしているが決心がつかずここまで来た。もうそろそろ決断して、日々一定の感染者が出続けている東京に仕事もないのにわざわざ出向いて散髪するか(これは可能性としては極めて低いが)、あるいは近所で美容院を探して冒険するか、いっそのこと過去に戻ってロン毛にするか今悩み中である。そうは言ってみても後頭部のハゲは緩やかな速度で確実に進行中であり、若い時のように髪型を変えたからと言って、劇的に爽やかな好印象を与えるようなことにはならないことは自覚している。騙し騙しの感は否めず前途に希望は抱いていないが、それでも人情として気になるのが髪型であるから厄介である。
最近、コロナの影響で、ラジオの電話インタビューでもリモート出演ということで FaceTime やSkypeなどのアプリを使ってゲスト出演することが多くなった。パーソナリティーの方と電話で話すだけならこれまでのように寝癖のついた髪であっても相手には見えないし、声だけ他所行きであればよかったのだが、やはりラジオでもスタジオにいるようにお互いの姿を見ながら話す方がいいに越したことはないので、こんなことになっている。誤解のないように断っておきたいのだが、以前から、たとえ、姿を見せない電話インタビューであっても、最低限、顔を洗って歯を磨いて聴視者に失礼のないように電話に正対してインタビューを受けていた。が、わざわざそのために髪の毛をセットしたり部屋着を着替えてまでは流石にして来てはいない。姿を晒さなければならなくなり電話インタビューも一手間掛かるようになって、自分としては正直どうかなと思っているが、仕方ないか。
6月24日にニュー・アルバム『静かな心』をリリースした。ネットで先行発売して多くのファンの方から好評を頂いてホッと胸を撫で下ろしている。2月中に東京でのレコーディングを終えてその直後の3月に入ってすぐ外出自粛の緊急事態宣言が発出された。もしレコーディングが少しでも遅れていれば、少なくとも年末までリリースされなかっただろうし、アーティスト活動をライブやアルバムを中心としている自分が、全くそれがなしでは僕もファンの方もお互いに気が気でなくこのコロナ禍を過ごすことになっていただろう。そう思うと今、皆さんの日々の無聊を慰めているアルバムになっていると言うメッセージを頂いて、心から『静かな心』をこの時期にお届けできたことを嬉しく思っている。まだ希望的観測ではあるが、この秋に遅ればせながらアルバム発売記念のコンサートを東京で催せたらいいなと考えているが、状況を注視しつつ計画して行くことになる。
ニュー・アルバム『静かな心』好評発売中。コロナ禍にあっても元来、出不精の私であるゆえ、暇を持て余してイライラすると言うこともなくお気楽に過ごして来た数ヶ月であったが、よくよく考えてみれば、今年に入って一月に福岡でファンの集いを催して以来、一度もライブを行なっておらずその結果、収入なんとゼロ。印税収入が多少あるとはいえ高が知れたところで、この先コロナが長引けば爪に火を点すような生活を強いられるかも知れず、独り暮らしで、娘達も成人して働いており出費がそう嵩むことはあるまいと思ってはいても老いの身に不安は募るばかり。この冬、ギターを薪にして寒さを凌ぐってことも。
ニュー・アルバム『静かな心』絶賛発売中。この先はもう言わずもがなで賢い皆さんならすぐわかるはず。一枚とは言わず二枚三枚。爆買いも大歓迎。結局、言ってる。
とにかく、元の日常をいつか取り戻せることを祈り信じて、感染リスクを極力回避して、それこそ草を食んでもこのコロナ禍をなんとか生き延びなければいけない。
コロナ前の平和がどんなに尊いものだったのかを痛感した今、世界中の誰もがそれぞれに自らを反省し、コロナ後の世界がより良いものとなるように協力し行動しなければならない。人智を超えたかのようなコロナ・ウイルスの出現は、明らかに我々人類に向けられた何らかのメッセージである。受け取り方を誤ってはならない。