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From 龍雲

2019年2月のメッセージ

一月は何かと忙しい月であった。
年越してすぐ里帰りして、三日間ほど申し訳程度にすっかり歯の弱った高齢の父に苦心の賄いを献上し、その後、日を置かずしてすぐにロサンゼルスの大学に通う娘を訪うた。二人とも車の免許を取得しており、三人で代わる代わる運転してメキシコとの国境の街サンディエゴからラスベガスまでの約500km以上を5時間ほどかけて、道々、トランプ大統領の悪口を言いながらドライブした。あっという間の一週間の娘達との楽しい再会の時を終えて、帰国して数日後の東京でのファンクラブのイベントのために、さらに前乗りして新年気合も新たに散髪。当日、薄毛にもかかわらず、ライブ中にささやかな旅のお土産を抽選でプレゼントしたりして盛り上がったり下がったり。翌日、恒例の川崎大師に初詣に出かけ、昨年の四国巡礼と高野山詣での結願を報告しその無事を謝した。その後一旦沖縄に戻って、友人等の来沖に「友、遠方より来る」と酒を交わし、ボールを飛ばす。そして、その翌々日には、九州は長崎、大分と連チャンのライブに旅立ち、思わぬ寒波にもめげず大成功をおさめたりおさめなかったり。そしてやっと今一息ついているところである。
昨年一度も風邪を引くことなく過ごせたこともあって、油断があったのだろう、いつの頃からか咳が出始め、いつもならパブロンゴールドを飲めばすぐ治るはずなのに、ここのところ効いてるふうもない。流行中のインフルエンザかもしれないと思い始めている。A型かB型かはわからないけれど、聞いた話によればどちらかは熱が出ないタイプらしく、高熱の症状がないとはいえ、インフルエンザに罹っている可能性があると思い始めた。咳が散発的に襲ってくる以外は異変はないのだが、明日あたり病院に行ってみようかと思っている。
この冬だいたいはマスクをして予防に努めて来てはいたが、感染を防ぐには限界がある。予防接種を受ければいいのだろうが、それでも罹ることがあるやにも聞く。食事をすればマスクははずすし、人と触れ合わなければ仕事がなりたたない。診断がインフルエンザだとすれば、次のライブまで一歩も外出せずに過ごすことだろう。隔離される状況は独り身ゆえ、悲しいながら自然と整っている。
マスクといえば正月にロサンゼルスに行く際、沖縄から成田空港へ向かう途中機内で、例によって眼鏡をかけマスクをして髭をかなり蓄えていたにもかかわらず、通路を挟んだ隣の席の同年代のおじさんから「ながいりゅううんさんですよね」と書かれたメモ用紙を黙って渡された。ちょうど、爆睡から覚め、耳にイアホーンをして音楽を聴きながら、手には文庫本と、まるで日光東照宮の「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿のような状態であったのにもかかわらずだ。思わず「よくわかりましたね」と答えて、お前は逃亡中の身か!と自分でツッコミを入れたくなった。
山形から小学生のお孫さんを連れての奥さんとの三人旅であったようだが、その喜び様に言うまでもなくこちらの方が心を暖めていただいた。
デビュー当時とは髪型も変わっており、髭ズラにマスクもかけていて、それでも見破ることができたと言うからには、この人はデビュー曲『想い』からの熱心なファンに他ならない。何故ならばそのシングルジャケットには目しか写っていないから。
「毎日聴いています。山形でライブはないんですか?」
残念ながら、昨年演ったことは知らなかったようだ。