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From 龍雲

夜中に突然、頭の中でメロディーが鳴り出して止まず

 夜中に突然、頭の中でメロディーが鳴り出して止まず、その新鮮さに驚き、もしかして神の啓示、名曲の誕生か。忘れてはならじと慌てて枕元に置いてあるiPhone の録音アプリのRecボタンを押して鼻歌で録音する。そうして再び安心して眠りに落ちるのだが、明くる朝、さぁ、どんなメロディだったかな、と期待に胸を膨らませてiPhone の録音アプリの再生ボタンを押してみるのだが、その多くの場合、モゴモゴとコード感もなく何を歌ってるか判明すら難しく、判明できたとしても、やっぱりどこかで聴いたことのある陳腐なメロディに過ぎず落胆することがよくある。そんな時、今もそうなのだが、突然点けたランプの明かりが眩しかったらしく、横のベッドで寝ている娘(明日から新学期で早起きしなくてはならない)から、「パパ、まだ4時」としかめっ面で言われ、「ごめん、ごめん」と謝ったその謝罪も徒労に終わり、何だ、こんなことならそのまま寝ていれば良かったと後悔する。それでも100回200回(いやもっと)に一度ぐらいは、そうして浮かんだメロディをもとに出来上がった作品もあり、たとえ徒労に終わろうとも飽きずこの努力を繰り返すしかない。
 今、ロサンゼルス郊外の娘の大学近くのホテルにいて、明日から大学の寮に戻る最後の夜を過ごしているところだ。しかめっ面で枕を頭に被せて寝た次女も長女と二人再び深い眠りに落ちている。
 昨年、イーグルスのリーダー、グレン・フライが67歳の若さで急逝し大いにショックを受けたのだが、イーグルスが結成されたと言われるライブハウス『トルバドール』がビバリーヒルズにあって、昨日、娘達と1時間ほどハイウェイをドライブして見て来た。今でもライブが行われていて、昨夜はライブを見ることはなかったが、外から中を覗いたり写真撮影したりして、「売れる前の若きグレン・フライとドン・ヘンリーがここで演奏していたのか」と感激してホテルに戻って来た。
 丁度、ハイウェイで『トルバドール』に向かう途中が夕方頃で、青さを増した空の地平線側がオレンジ色に染まり、逆光にパームツリーのシルエットが連なり、冴えた空には星も三日月もかかっていて、イーグルスのあの名曲中の名曲『ホテル・カリフォルニア』さながらの妖艶な世界の中、本場でその曲をiPhoneで聴きながら陶酔しきっていた。
 彼らに『ホテル・カリフォルニア』のような名曲が天から降りて来たように、いつかきっと僕にも名曲中の名曲が降りて来ることを信じて、iPhone を枕元に置いて懲りることなく今夜も眠りにつくことだろう。
今、ウキペディアを見て知ったのだが、何とグレン・フライの誕生日が11月6日だったとは。これも何かの縁か。
ご冥福を祈る。