迷走台風10号の被害が東北、北海道で明らかになって来て、台風に慣れていない場所での人々の動揺、混乱、恐怖は想像以上のものであるに違いない。かなりの被害がさらに出ているようで、お見舞い申し上げるばかりである。
今年、ここ沖縄はまだ大きな台風の襲来はなく、今日あたりは爽やかな秋風が吹くようで、クーラーもいらずに過ごしやすい。もちろん台風は9月これからが本番だろうから気を抜けないが、このまま穏やかに日本全国、秋に向かってほしい。
先週の金、土、日曜日の浅草木馬亭の公演を終えて、今、ぐったり、だらりとしてリビングのソファーに横になってこのメッセージを書いている。今年の木馬亭は初めて三日間ということで、初日、中日はゲストの方を招き、楽日は一人で行った。
初日のゲストは西崎緑さん。ご存知の方も多いと思うが、まだ七歳ぐらいの幼いうちに歌手デビューされ、日舞の家元の家系であることから当時多いに話題になった。その後、藤田まことさん主演の必殺シリーズから『旅愁』という曲を歌ってヒットさせ、現在も女優、歌手として活躍されている方である。この度、音楽評論家の富澤一誠氏のプロデュースで9月21日にテイチクからリリースされる彼女のシングルの作曲を手掛け、そのご縁で木馬亭のゲストに来て頂いた。新曲の『偽名』(作詞は田久保真見さん)を歌って頂いたのはもちろんのこと、さらに日舞まで快く披露して下さり、誰もがその舞に魅了された。新曲が少しでも彼女のお役に立てることを願う。
二日目中日は、浪曲師、東屋一太郎さんと、曲師、美さんのご夫婦に来て頂いた。木馬亭は元々、浪曲がメインの定席で、いつかはコラボをと思っていたところ、今回、木馬亭の若女将さんの紹介で実現した。浪曲界の中でも今、夫婦二人三脚でやられているのは少ないらしく、それだけに、一太郎さんの浪曲と美さんの三味線の絡みが絶妙で、多いに客席を盛り上げ楽しませてくれた。お二人には仲良く、浪曲界を引っ張って行ってほしいと思う。
そして千秋楽は、やはり西崎緑さんと同じく、富澤一誠さんのプロデュースで9月21日にテイチクからリリースされる僕自身の新曲『顧みて』を中心に構成し、めでたく今年の「歌花火」の幕を下ろした。
最後に新曲のことをもう一度言っておこう。
分かりやすくA面『顧みて』B面『親友への手紙』いずれも作詞作曲。
自分にとって、原点を歌った二曲であり、来年デビュー40周年60才と言う最大の節目の年を前に、これらの曲ができたことは意図せず、偶然によるものが大きく、その意味では奇跡とも言える。
今回も何らかの目に見えない力が働いて僕を手伝ってくれたと思わずにはいられない。