ーギックリ腰をやって20日が経ち、やっと普通に動けるようになりました。しかし当たり前と思っていたこのがどんなにありがたいことであるかをつくづく思い知らされました。
普通に動けるようになって、それなら走ることも可能かと、約1時間ほど走ってみましたが、何とか最後まで走り切ることができました。もうそうなると、東京マラソンを走らない言い訳は僕にはできません。
果たしてどんな結果になるかはわかりませんが、完走するにせよ、リタイアするにせよ、スタートラインに立てる喜びこそが、今回学んだ普通に動けることへの感謝に他ならないと思い、予定通り出場することに決めました。ご心配をお掛けしますが、どうぞ応援してやって下さいー
以上は、3年前の東京マラソンへ向けてのメッセージ。
どうぞ応援してやって下さい、なんてカッコいいこと言いながらも、東京マラソン当日、都庁前をスタートして約10km走ったところで、心配した腰ではなく持病の左右ふくらはぎが痛み出し、敢え無くもやっぱりリタイヤして最寄りの駅(確か三田駅)から惨めにも電車に乗って新宿の宿まで一人帰ったのを思い出す。あれから2年のブランクがあって今月の28日開催される東京マラソンで、いよいよそのリベンジを果たす時が来た(かなりビビってる)。
あれ以来ギックリ腰の方は恐れていた再発もなく走ることに何の支障もない。となると完走の成否は左右のふくらはぎの痛み方次第だと言うことになる。いつ痛み出すかわからないというのが厄介なところで、ゆっくり走ればいいってものではない。結局はフォームの問題なんだろうが、今までだとスピードを少しでも上げようとすれば爪先で地面を突くような走りになり、どうしてもふくらはぎに負担がかかっていたみたいで、よしんば短距離走はそれでいいとしても(本当のところはよくわからないが)、長距離走は踵から地面に接地して走るのが正しいと読んだか聞いたか夢見たかした記憶があり、それならばと、練習の時、踵から先に接地することを意識して走っていたら、極端過ぎたのか今度は踵の痛みが持病になった。これで今回もまた完走は無理かと落ち込み練習をしばらく休んでいたら、そんなある日、あの名台詞「自分で自分を褒めてあげたい」と言って国民に感動を与えたオリンピック女子マラソンの銀メダリスト・有森裕子さんがテレビ番組で、僕と同じようなふくらはぎの痛みを訴える市民ランナーに答えて「バタバタバタバタと走って下さい」とアドバイスしていた。バタバタ?どういうことかなと思ったが、とりあえず練習で「バタバタバタバタ」と口遊みながら走ってみたら、なるほどそれ以来、ふくらはぎも踵も今日現在まで痛みがなくなった。あくまでド素人の解釈だが、つまりは歩幅を狭くいわゆるピッチ走法みたいな走りをしなさいってことで、爪先、踵はあまり意識せず自然と走ればいいと言うことなんだろう(しかしやってみるとこれはこれでなかなかキツイものがあり、今までよりも足の筋力を必要とするように思える)。とにかく残された本番までの僅かな時間を思えば、このバタバタ走法を信じて自分のものにするしかない。有森さんの伝えたいイメージとは違って、格好はたとえ無様であっても。
普通に動けるのが普通になってみると普通に暮らせることの有り難さを普通のように忘れてしまっていた。喉元過ぎれば熱さを忘れるで、何かを教訓にして生きるって凡人にはなかなか難しい。
今回は誰にも知らせずに(すでに自ら言いふらしてる)、大言壮語することなく、自分自身のために無言実行で完走を目指そう。42.195kmを、そう、四国八十八ヶ所巡りの遍路道だと思って。祈ることは沢山ある。
今年のツアー『旅、ふたたび』は、今月その四国から。