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安保法案が可決した。

 

安保法案が可決した。
今の自民党を先の選挙で大勝させてしまったことでこの結果は見えていた。その意味で第二党の民主党、それに一部国民のその両方に反省があって然る可きである。

一言だけ言っておきたい。
国防と言うのは本当に難しい問題である。総理のように安倍君、麻生君的な卑近な例え話はどうかと思うが、家を守るのに最低限の鍵は必要だと考える。そこに守るべき家族がいたらなおさらだ。安全保障の面ではアメリカとの関係を良好に保つ必要が絶対にある。もちろん対等なものとして。

何が問題だったかと言うと、
戦後、アメリカに与えられたとは言え、今や国民の血肉となっているこの国の大本である憲法を勝手に都合よく解釈変更したことである。与党が法をないがしろにする軽薄さがために、延いては官僚・警察・教育者の不祥事に目を覆うべきものがあり、この国のたがが緩んでしまい、子供達に示しがつかない状態なのが現状なのではないだろうか。憲法を変えるにしても冷静な議論を重ねて法に則った手続きを踏んで、その上でこの国の形を決めるべきである。

この法案の可決によって、一歩戦争に近付いた。そうは思いたくはないが。
アメリカの映画監督マイケル・ムーアの『華氏911』の中で、イラク戦争法案に賛成した議員に突撃インタビューするシーンがあり、
「賛成ならご自分のご子息を戦場に送っては」の質問をして、その答えに詰まる者、逃げ出す者がほとんどだった。威勢がいいだけの与党議員に言いたい。その時に真っ先に逃げ出すってことはまさかないでしょうね。

ただ、国際情勢が不安定なのは気になるところではある。
インターネットで世界が繋がった今、対岸の火事と目を背けてはいられなくなった。今一番世界が注意していなければならないのは、どの国にも独裁者を作り出さないことだと思う。それによって戦端が開かれる恐れがあるからだ。北朝鮮は言うまでもなく、大国であるがゆえに中国・ロシアにおいては特に懸念されるところであろう。我が国もどうか。世界が相互に絶えず注意しておく必要はある。

しかしまだ時間はある。
戦争を絶対繰り返さないためにも、政治的・軍事的中立を守って、飽くなき平和外交によって、経済的にも領土的にもどの国ともウイン・ウインの関係を築く努力をし、寛容な国として世界に愛される道を目指すべきである。そうするに一番近い国であるように思って来たが。

『備えあれば憂いなし』法案と与党議員は言ってたような。でも結果その程度の備えではもうどうにもならないことぐらいわかっているだろう。時間はある。何をそう焦るのか。まずはもう一度、胸襟を開いて、歴史的に最も寛大さを発揮するぐらいの迫力でもって関係改善を目指す時ではないだろうか。疑心暗鬼を生ずはお互い様なのだから。

戦を繰り返すは人の馬鹿である
火に炙られてはじめて己の愚かさに気づく −あとの祭り−

と誰が言ったか言わなかったかは、知らない。