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27日にテレビ朝日の報道ステーションをたまたま見ていた。

 

27日にテレビ朝日の報道ステーションをたまたま見ていた。
前日かにレギュラー・コメンテーターの朝日新聞の恵村順一郎論説委員が番組を降板する際の放送も見ており、毎春恒例の番組改編の時期とは言え、理性的に鋭く社会の歪みを指摘する正義派コメンテーターとしてのその見識に大いに尊敬を抱き、彼の隠れファンだっただけにその降板は本当に残念で仕方がなかった。
そんな気持ちでいるところに、27日の報道ステーションの番組の中頃、準コメンテーターの扱いで度々当番組に出演していた元経産官僚の古賀茂明氏自身の降板劇の舞台裏暴露には番組を見ているこちらの方がドキドキさせられた。古賀氏は元々、歯に衣着せぬ発言で知られており、よくぞ権力に対してそこまで言ってくれたと、己の代弁者として一人快哉を叫んで溜飲を下げていた。
原発推進、辺野古移設、イスラム国の人質の問題等の我々視聴者の多くが同様に抱く疑問をお二人とも分かりやすく解説しコメントしていたにも関わらず、官邸等から圧力がかかって降板させられた事は客観的に見ても明らかで、ことがある意味個人的には信頼していたテレビ朝日のことでもあり誠に不愉快な思いがしたことと、戦後常々警鐘を鳴らされて来た言論封殺と言う歴史の暗部を垣間見せられたようで俄かに垂れ込める暗雲を感じた。
戦争の悲劇は絶対に繰り返してはいけない。戦後その反省に立って、言論等の自由が保障されて来た。いずれの政治課題も様々な議論があることは当然である。経済、国際情勢等のしがらみの中ではその解決は簡単なものではないだろう。しかしだからこそだ、時の政府は隠し立てすることなく国民に正直に問題点を指し示し広く議論を起こして皆んなで国の方向性を決めなければいけないにも関わらず、先にあげた問題のほとんどを独断で誤魔化しのままに進めようとして来た。さらにあろうことか意見の異なる者に圧力をかけて言論封殺の空気を意図的に作り出しているのは全くもって看過できない。
政権与党である限りその政策を実行するに非はない。国民自らが選挙で選んだのだから仕方がない。しかし政権につくいかなる政党であれ、裏で圧力をかけるなどは言語道断もってのほかである。辞めさせるなら辞めさせるで正々堂々とその理由を公開し、後にその是非を国民それぞれに問えばいいだけのことだ。思想の違いは当然だ。姑息な手段を使うことによって、その思想さえもが胡散臭いものと疑われて仕方がない。
過ちては改むるに憚ること勿れ。まだ間に合う。日本を日本人を僕は信じている。とてもいい国だと思う。僕のささやかな経験からしても。だからこそ今回のようなあからさまな降板劇を国民は絶対黙って許してはいけない。笑って見ててはいけないのである。野党には是非、官邸からテレビ朝日に圧力があったのかなかったのかの事実を明らかにしてほしいし、社会全体にこの暗雲が立ち込める前に1日でも早くすっきりと吹き払ってほしい。
報道ステーションを降板させられた古賀氏には、是非、野党議員にでもなってもらって、今後とも政治家、官僚の不正を国民のために糾弾し続けてほしい。
勇気ある正義の人の前では、彼に対するどんなバッシングも言い訳にしか聞こえない。怯まず頑張ってほしい。

 

2015年4月