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From 龍雲

若い頃は、かって『今日この頃』という歌にも書いたように

 

若い頃は、かって『今日この頃』という歌にも書いたように、言葉というものは使い捨てのその場しのぎの方便程度にしか思ってなくて、本当の気持ちを言ってもどうせ理解してもらえない、ムキになって敬遠されるよりも、適当に会話してればいい、みたいな。そんな思いが習い性となって、言葉と言うものをあまり信用して来なかった。代わりに、歌の詩を書く時はその分真剣に自分の気持ちと向き合って来たように思える。そこには嘘はない。
最近、二人の偉人の本を読んで、その考えが改められようとしている。一人は明治維新の大功労者である西郷隆盛。「敬天愛人」という思想に至り、天から、つまり神様から等しく何人も愛をお受けしている。ならば天の思し召しに叶うように何人をも自分を愛するように愛さなければいけない。とそんな風に解釈しているが、西郷さんの行動や書き残した物にはその思想を裏付けるエピソードが一杯だ。
沖永良部島に遠島されて座敷牢の中から、島の役人にその心得を説いた言葉などは、是非、今の政治家や役人達に読んでもらいたい。要約すれば、天、その下に天子たる天皇、それらの代わりに民に善政を施すことこそが役人の務めである、とそんなところであろうか。その言葉を聞いて何も感じなければ、政治家や役人などなるべきでない。今の時代にもう一度西郷さんのような大器量人の出現を僕は夢見る。

 

もう一人の偉人は、アメリカ第35代大統領、J・F・ケネディ。たまたま海外の古本屋で見つけた、落合信彦さん著の『ケネディからの伝言』はケネディ大統領に対する認識を一変させた。もともとケネディ大統領に関するドキュメントや、オリバー・ストーン監督の映画『JFK』等、興味があって見て来たが、その深いところは知らず、ただ若くてハンサムな大金持ちのぼんぼんと言うことと、その悲劇性にしか興味の目は向いていなかった。
この本にはケネディ大統領の様々なスピーチが著者によって翻訳されており分かりやすく読むことができる。その内容たるや、大衆の良心を目覚めさせずには置かないほど感動的なものだ。現大統領のオバマさんもスピーチ力で大統領になった人だが、任期も後2年ほどになって、以前ほどの切れ味を感じさせない。置かれている時代のせいかもしれないが、ケネディ大統領の方がスピーチ力においてずっとずっと上だ。確固たる信念に基づき現実を見据えつつ尚且つ世界平和の理想を謳える。聞いていると本当に実現可能な気分に浸ってくる。「国家があなたに何をしてくれるかではなく、あなたが国家に何ができるかを考えてほしい」とこの有名なスピーチなどは、アメリカ国民にとって耳障りであるはずなのに、みんなが素直に受け止め大喝采を贈っている。ゴーストライターならぬスピーチライターはいたようだが、ケネディ大統領の思想であることに疑いはない。是非、政治家の皆さんに読んで頂きたい。徒党を組んで、その力関係ばかりに気を使っていては、理想も何も描けまい。ケネディ大統領のように世界平和の理想を訴え、自国民ならず他国民さえをも共感させるそんなリーダーの出現を今こそ僕は夢見る。

 

そんなこんなで、言葉の持つ影響力、力と言うものをもう一度、自分なりに考え直している今日この頃である。

 

2014年5月