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From 龍雲

今、アルバムのレコーディング中である。

 

今、アルバムのレコーディング中である。 東京に来て一週間。中央線沿線のウィークリーマンションを借りて後さらに一週間、近くのスタジオに通う。とは言っても毎日スタジオではないので、オフの日は見知らぬ街並を散歩したりする。時にはジョギングも。地方の町とはちょっと違う小洒落た雑貨屋や洋服屋、飲み屋がたくさんひしめいていて、歩いているだけでも楽しくなる。 かって18歳の時上京して、兄の住む西武新宿線の沼袋のアパートに数ヶ月間転がり込んでいたことがあるので東京の私鉄沿線は特に懐かしくて、夕暮れ時の遠く近く聞こえる電車の音やギザギザな都会の空を見ると、人間の生きることの切なさ愛おしさを感じて茫然自失として立ち尽くしてしまうことがある。今も決して嫌いではない東京に、でも何故か「この街にはもう住めない」と心の中でつぶやいている自分がいるのは、歳のせいかなと思う反面、どこか生来の孤独と直結している思いであるような気もする。一年の半分近くを旅して、こうしたウィークリーマンションやホテルに住まっていると、知らぬ間にいつしか根無し草の性格が身について、安息の地が自分にとって果たして一体どこなのかわからなくなる。離婚して家庭を失くし一人でいると尚更に。どうもこれが孤独の理由なのかもしれないと俄かに気づいたが、でもそれだけでもないだろう。よくわからない。

 

ここのところ東京も暖かくて良かったが、沖縄に長く住むと、冬はやっぱり沖縄がいいなとつくづく思う。でも15年この島に住んで、ここが終焉の地かと問われると、まだ腹を決めきれてはいない。なら、今年正月過ぎに帰った親兄弟の住む故郷なのかと言えば、そうまではまだ心が悟り切ってもいない。もしかしたら、また東京に住むことがあるんだろうか、博多だってことも。後何歳になって、何をきっかけにこの先移住を決断することがあるんだろうか。

 

なんてことをオフのウィークリーマンションの一室で一人考えて今メッセージに綴ってはいるけど、今回、レコーディングで上京する直前に、住宅金融公庫から沖縄の地方銀行に残りのマンションのローンの返済の借り換えをお願いしたばかり。もちろん利息を考えて。何処に移住するも何も、ローン完済してからだろ。本当に現実離れしていて馬鹿だな俺は。でも、馬鹿だと言われても、頑張ろっと。

 

いよいよ今月からまたライブが始まる。ジョギングを再開して体調もバッチリ。アルバムを無事に仕上げて、春の足音と共にみんなに会いに行くので待っててね。よろしく!

 

2014年2月