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「感染性胃腸炎ですね、これは。今、流行ってるんですよ」

「感染性胃腸炎ですね、これは。今、流行ってるんですよ」
昨夜、続け様に発症した娘二人を車に載せ、朝8時半に開くのを待って訪れた病院でそう言われた。ナースさんの問診と先生の聴診器を使っての軽い触診のみだった。
「ポカリスエットを常温で飲ませてね。いっきに飲むとまた吐くから少しづつ。ご飯はそのまま食べさせればいい、噛むと唾液が出るから」
昨夜来の三度にわたる長女の嘔吐、明け方に今度は次女の嘔吐があり、その後始末でほとんど寝ていないこの愚かな父はすっかりパニクっており、先生の話も上の空の感があった。
「先生、食事はどうすればいいんでしょうか。お粥とか」と帰り際に父。
「だからご飯をそのままあげればいいです」少しムッとした顔の医師。
「これは感染しますからね」とまた医師。
「気をつけて下さい」とナース。
娘それぞれに三日分の薬をもらって、医師に言われた通りポカリスエットをコンビニで買い込んで家に戻った。このところ外食ばかりで家では何も作ってやっておらず、外で何かがあたって軽い食中毒ぐらいだろう、明日には良くなるだろうぐらいに軽く考えていた愚かな父に、冷厳なあの医師の予言がみごと的中した。トイレへ立とうとする娘たちを制してその愚かなる父は一言。
「パパもトイレ」

 

ということでその夜、楽しみにしていた落語家の桂竹丸さんとの沖縄での会食も急遽きょキャンセルし、本当に申し訳ないことをした。師匠には鹿児島でのコンサートの折、お花をいただいたり、師匠が鹿児島でパーソナリティーをなさっているラジオ番組で告知等協力していただいており、コンサートの打ち上にも二度ばかり参加していただき飲んでお話をさせていただいた。その際、同い年ということがわかり意気投合して、改めて沖縄で飲もうということになっていた。なのにドタキャンとは男の風上にも置けぬ。行くか行かざるべきかの苦しい選択ではあったが、丁度その時仕事の電話をして来たマネージャーのネギちゃんにそのことを話したところ、
「師匠に感染しますから行かないで下さい」とあっさり言われて行くのを諦めた。
考えてみれば当り前のことで、激しい嘔吐、下痢、発熱が症状のこの病気、酒が飲みたいばかりにのこのこ出掛けて行って、高座などでお忙しい師匠にうつしたらそれこそ大変なことになる。座布団の上で体をくねらす師匠を想像するだに恐ろしい。行かなくて正解。

 

師匠、今度沖縄にいらっしゃる時は必ず。本当に申し訳ありませんでした。

 

7月の終わり、娘達との夏休みの終わりはこんなドタバタな終わりだったが、離れて暮らす父娘には忘れられない思い出のこれもまた一つになった。
明日から8月。気分も肉体も気合いを入れ直して、また頑張るぞ。
暑中お見舞い申し上げます。

 

2013年8月1日