デヴュー35周年を終えて、ファンクラブ『らんぷ』も無事立ち上がり、『旅、ふたたび』の新たな決心で40周年を目指してツアーを開始した。
仙台、福島石川町がその皮切りだったが、サッカーのインタビューでよく聞くところの「課題の多いゲームでした。修正してまた頑張ります」と言ったような、自分としてはそんなスタートだったが、ま、しかし、想いは伝えることができたと思うし、みんなも喜んでくれていたようなので、次に向けてめげずにまた頑張りたい。頑張れ東北。
それにしても実際、ライブは大変だ。会場によって明かり等の環境が様々に違うし、地方地方によって歌の好みも微妙に違ったり、年齢層だってかなり微妙に違うことだってある。自分なりに思うのだが、ホールコンサートとライブハウスの違いは何かと言うと単なるイメージだが、体操競技における(規定)と(自由)みたいなものじゃないかと思う。ホールコンサートであれば大体どこのホールも似たようなものだし、照明や音響のスタッフがいて安心できる反面、曲の構成を基本的にはコンサートの途中で変えることはできない。決めた構成をある意味厳粛に着々と進めるだけだ。一方、ライブはと言うと客席とステージの近い距離感から、生身の人間力の勝負みたいなところが多分にある。その都度の空気をつかんで臨機応変に構成を変えるぐらいの緊張感と大胆さを持たないとやってゆけない。
もちろん、どちらがどうという話しではない。理想はライブハウスで研ぎ澄まされた感覚をホールコンサートに結晶させて全国をツアーすることで、そのためにはまずはライブハウスでの闘いに自らが打ち勝つことが大切だ。今年一年を終えて、その手応えを完全に掴みたい。
客席のどんな想いをも繊細にとらえ歌で答へ、どんな大向こうのヤジにもすべてを包み込む暖かなジョークでさらっとかわし、どんな不意のリクエストにも決してうろたえることなく歌詞をスラスラと歌える、そんな人に私はなりたい。

2013年5月1日