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残暑特に厳しき今年、今日から9月だと言われても「実感ない」と思われてる人がほとんどだろう。

残暑特に厳しき今年、今日から9月だと言われても「実感ない」と思われてる人がほとんどだろう。沖縄では今日が旧盆のウークイ(お送り)で、越中富山八尾では今日から三日間、おわら風の盆。「実感ない」と思われても、それでも、暦の上では秋の訪れが確かに告げられている。
沖縄は台風14・15号のせいもあってか、夏休み最後の書き入れ時だというのにビーチに人影がいつもより少なく、夕暮れのジョギングに一足早い秋の佇まいをすでに感じている。
別に早く秋を待ちわびる気持ちが僕にあるわけではないが、年を取るにつれ、何となく時を前のめりに生きている自分を感じて心せわしく思う。髪の抜け落ちるが早いか、望む夢の到来が早いか、そんなことを思い一日があっと言う間に過ぎて、本当は、一分一秒一日をもっと大切にして、季節を愛でながら生きて行かなければならないと言うのに。

 

シリアの戦場に死したジャーナリスト、山本美香さんを思う。
最後のレポートの中にあったのか、希望なき悲惨な戦場にあっても、父親に抱かれた幼き子供を写し、かの国の未来を見出そうとした彼女の視点は女性ならではの感性であり、永遠に称えられるべき功績であると思う。享年45才とある。ご冥福をお祈りする。

 

1993年、当時愛用していたエルメスの小型の手帳を開いて見た。ほとんど使われていないページ中に、どこかのライブの選曲を書いたページがあった。〈暖簾、捨て猫(カラオケ)、etc.〉今から約20年ほど前。まだ独身で、神奈川県の相模原市に住んでいた頃。

 

あるコンサート、ジョイントだったか、ソロだったか、を訪ねて来て、取材をお願いされた。まだ大学生といった小柄な少女。目元が生稲晃子で、声が賀来千香子と言った印象。取材テーマは、フォーク全般のことだったか、自分のことだったか思い出せない。それも、雑誌だったのか、ラジオ、テレビだったのか、もしかしたら、彼女の卒論だったかもしれない。過去の資料をほとんど持たないので確認しようにもできない。見るからに利発そうで、芯のしっかりしたよく笑う明るい少女だった。取材後の雑談の中で彼女はジャーナリストになる夢をそう言えば語っていたような気もする。20年の月日に埋もれて、様々なことが思い出せなくなっている。大切なこともそうじゃないことも。

 

エルメスの手帳の中のアドレスに当時の知り合いや会社の名をA~Zの項に分けてボールペンで丁寧に書いてある。Yの項を開いて見た。やっぱり、あった。山本美香と。彼女だったのか!?

 

2012年9月1日