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From 龍雲

歩き始めている。四国の道を。

歩き始めている。四国の道を。
最初のお寺近くの店で、同行二人と書かれた菅笠、金剛杖、山谷袋等一式購入して、一応のレクチャーを受けたら即席のお遍路さんの出来上がり。
とりあえず歩き始めたはいいが、どうにも動きがぎこちない。菅笠ひとつ脱着するのも大仕事で、その大きさが感覚的にわかっていないのでコンビニや納経所の自動ドアに挟まれることもしばしば。杖のつき方にもコツがあるらしく、コンコンとリズムを刻む要領のようだ。最初はそれを分からず、登山のストックのように使って、側溝の蓋の穴に挟まって、その都度、お大師さまに「痛かったでしょう。もうお足を挟みませんから」と謝ることになる。

お寺でお経を本堂と大師堂で同じように2回唱える。そこへ行くまでの手順も何寺かお参りした今、ようやく要領を得て来た。そうなるとそれまで自分で自分を無様だと思っていたお遍路姿が全然気にならなくなって来た。
と言うか毎日平均30km近く歩いていればカッコのこととか気にする余裕もない。
東京マラソンを毎日しているように足が痛い。
6:00に起床して納経所の閉じる17:00まで歩き続けて、考えてることと言えば、後どれくらいで着けるかとか、今夜の宿の献立はどんなだろう、お風呂は、とかそんなことばかりで、とても精神修養など期待できそうにない。初心者お遍路さんはみんなそんなものなんだろうと、もう開き直っている。

ただ、早起きして自然に触れているのは実に気持ちがいい。特に山の中に一人いる時。谷底から立ち昇る朝靄、キラキラ光る木漏れ日、鳥の鳴き声。谷川のせせらぎ。
忘れてはならないものがあることを教えてくれる。

ー未来を作るのは今の心のあり様なのだー

と空海さんが言ったであろう言葉に触発されてお遍路の旅を始めた。
自分の心の中に変えたい何かがあり、変えなければならない何かがあると思うから。
オイビトを生きるために。

これからも時々思い出しては遍路旅のことを語るだろう。