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From 龍雲

早い、本当に早い、嫌になるほど早い。

 

早い、本当に早い、嫌になるほど早い。もう今日から11月だなんて、そして数日後には57歳になるなんて、あぁ、信じられない、あなた、信じたくない。 なんか演歌の歌詞みたいになったけど、本当のところこんな気持ち。なんか毎年11月のメッセージは50歳過ぎてこんなことばかり書いているような。光陰矢の如しならぬ、まさしく光陰光の如し。まだまだやりたい事、見たい物が沢山残っていることを思えば、100歳まで長生きしたって人生長すぎることは決してないと思ってしまう。そんな今という今にもあれやこれやと思う端からまた日が暮れて行く。
この間テレビで70歳過ぎて自分の歯が11本健康で残れば平均みたいなことを言ってたような?記憶があるが、嫌だ、嫌だ、もっともっと健康な歯を残したい。そのためなら死んでもいい。だけど、遅かれ早かれそうなって行くんだろうな。今はまだお陰様で命の黄昏を頭頂部以外はあまり感じることはないけれど、心の準備、覚悟ってものをそろそろしておかなければならないんだろうな。わがままな心に良く言い聞かせて、老いて行く体に良く寄り添って行くように少しずつ説得して行かなければ。

 

昨年、酔って転んで顔を怪我した時、長年愛用していた遠近両用眼鏡を壊してしまった。その後しばらくは、首から下げるタイプの老眼鏡を使用していたが、それも壊れ安く、また飽きもあって、この2・3ヶ月は、普段は眼鏡をかけず、本を読んだりメールを見たり必要な時だけ百均の老眼鏡を使用していた。こうしたほうがもしかして視力が回復するんじゃないか、根性で見えるようにしてやると頑張ってみたけど、やっぱり無駄だった。遠くは裸眼で何処までも見えるくせに、近くはもう全然駄目で、頭頂部以外にも命の黄昏がここにも確実に訪れていた。
それで、新しく注文した遠近両用眼鏡が誕生日に自宅に届くようになっている。別に自分へのご褒美にと日にちを合わせて買ったわけじゃない。眼鏡の仕上がりの日にわざわざ東京に一泊して受け取りにお店に行ったらまだ仕上がっていなかっただけで、お店が約束を違えるなんてプロとして許せなかったので、今後の若い店員のことを思って、思いっきり文句を言って帰って来た。一週間後に仕上がると言う事だったので、自宅に送ってもらうことにした。
でもその帰り道、フレームがひん曲がって壊れた前の遠近両用眼鏡、時々、騙し騙し未練がましく使用していたが、いよいよ尻に敷くなどしてポキっと片方のフレームを折ったりして捨てようかと思っていたら、突然に、そうだ、レンズは少し傷が入ったとはいえ使えないことはないんだと至極当たり前なことに思い当たって、別の眼鏡屋でフレームの交換だけお願いしたらレンズを加工し直してくれてまるで新品のような眼鏡が仕上がって来た。
今、新品同様の遠近両用眼鏡をかけてこのメッセージを書いている。そろそろ自宅に本当に新品の遠近両用眼鏡がやっと送られて来る。一体もう一ついるのか?と皮肉な声が何処からか聞こえて来るが、仕方ない。フレームが壊れたら眼鏡はもう終わりと早合点していた自分の不明を恥じるほかはない。しばらくは二つの遠近両用眼鏡の併用で行くことになる。まことに贅沢なことだと思うが、そのためにも100歳まで長生きしてこの二つの遠近両用眼鏡を十二分に活用したいと、貧乏性の自分は強く考えている。

 

2014年11月